いたくても いたくても
(C)東京藝術大学大学院映像研究科
産寸前の通販会社の映像制作部門で働くAD・星野は、社長・坂口が突如始めたプロレス同好会に先輩の司会者・戸田とともに引きずり込まれる。プロレスをする星野の姿に自分がかつてアマチュアプロレス団体に所属していた時のライバル・ベンジャミン前川の面影を重ねとった坂口は、一生懸命な星野に肩入れし始めていく。プロレス同好会の練習風景を撮影していた宇野は撮 影した動画を無断でネットにアップロードし、視聴者の間で話題を呼ぶ。それを知った坂口は会社の命運をかけプロレスと商品紹介を融合した新番組を開始する事を宣言する。負け役レスラーとして起用された星野は看板司会者の戸田に惨敗するという坂口の書いた初戦のシナリオ通りに初戦を終える。同僚であり星野の彼女でもある葵は、星野が楽しそうにプロレスをしている姿をどうしても素直に受け入れることができず、戸惑いを感じるのだった。会社に入ってから日のあたらない日々を送っていた星野が唯一見いだした活躍の場所であるプロレスのリング。プロレスにのめり込んで傷ついていく星野を葵は止めようとするもその声が星野に響く事がなかった。拗れていく星野と葵の関係。一方で、葵に恋心を抱いている戸田は、星野から葵を奪い取ろうとライバル心を燃やしていく。星野対戸田の第二戦を翌日に控えた夜、坂口は、星野が戸田に勝つというシナリオを発表する。そして迎えた第二戦。試合は坂口の書いたシナリオ通りに進んでいくかと思われたが…。